<園長先生のつぶやき その22
新年度スタート>
進級式、入園式も無事に終えいよいよ新年度の始まりです。
学校は令和5年4月1日から令和6年の3月31日までを1年間(今年)とするので、卒園式は令和6年度に実施するのに「令和5年度第58回ちどり幼稚園卒園式を挙行します」と言われるとなんとなくおかしな感じがします。
さて、今年はどんな出会いが待っているのかと思うと楽しみでわくわく、どきどきします。
その一つが新年度初日の園バス運行です。
はじめの1週間は、園バスに2名の先生を乗務担当として配置します。
その理由は、お母さんから離れるのが寂しくて大泣きをする子がAバスにもBバスにも数名おり、大幅な遅れが出るからです。
しかし、今年は違っていました。AバスもBバスも予定通りの時間で運行できました。運転手さんたちも、こんな定刻通りに運行できたのは初めてだとびっくりされていました。
どんな様子だったのかをバス乗務の先生に聞いてみると、バスに乗車するまではスムーズにいったそうです。
バスの中では、泣こうか、泣くまいか迷っている子が多く、中には涙は出ていないけど「わぁーん」「わぁーん」と座席で独り言のように叫んでいた子がいて、先生は我慢しているその子の姿がおかしくて思わず吹き出したそうです。
ただ、泣きじゃくる子もいなく、その子に時間をさかなかったので予定通りに終了したと話してくれました。子どもの心は、初めて親から離れて不安でたまらなかったことでしょう。よく頑張りました。
このように新年度の初日は、園バス運行も幼稚園(教室)での生活も泣く子がほとんどおらず順調なスタートがきれました。
2日目に入りました。
しまった。2日目の「泣の嵐」をすっかり忘れていました。
2日目は朝から大きな泣き声が主に年少組のあちこちのクラスから聞こえてきます。そうだ、ママを思い出す2日目だ。幼稚園、「いや! いや!」が始まる日だった。
初日はママと離れてもすぐ会えると思っていて園に登園してきます。そして、教室に入ると新しいお友だち、新しいおもちゃ、目に入るものや聞こえてくるものが新鮮でママを思い出す暇がないまま園生活が終わってしまいます。
しかし、2日目に入るとそうはいきません。幼稚園にはあの優しいママがいないことを学習しています。呼んでもママが来ないところが幼稚園です。
おまけに自分の好き勝手な行動も、わがままもできないところが幼稚園です。「これはいけません」「それは今やる時ではありません」と諭されます。
ママなら「いいよ」「わかった」とわがままを聞いてくれるのに。うーん。
先生も子どもたちが園生活に1日でも早く慣れて楽しい園生活にしなくてはと悪戦苦闘しています。先生のお話を聞いているところへ園長先生が姿を現すと大変です。
急に泣き出し「ママ、ママ」と声と目で訴えてきます。園長先生ならきっとママのところへ連れて行ってくれると思っているのでしょう。
何とか涙を止めようと「私がママよ。泣かないで」と言ってみたのですが、「ちがう!ママじゃない」と言ってもっと大きな声で「ママー」「おかあさーん」(ママーって叫んでも来ないので、おかあさーん。と呼び方を途中から変える子もいます)と叫びはじめ逆効果になりました。
でも担任の先生はさすがです。泣いている子を自分の膝にのせ、「大丈夫。ママにすぐ会えるからね。泣かなくていいよ」とそっと頭をなでてあげると魔法のように泣き顔から笑顔に変わっていきます。教育は「愛」ですね。
これから先生たちの愛情をいっぱいもらいながら、ママから先生へと信頼できる人がどんどん増えていき、楽しい幼稚園生活が送れるようになります。安心してください。
私は4月の学級づくりの時期は子どもに見つからないように、教室の中には入らずにそっと廊下から担任のじゃまにならないように学級参観をするように心がけています。
新年度の「学級づくり」で先生方にお願いしていることは、「朝の健康観察」、「帰りの健康観察」時に「今日もよく来たね。先生、会いたかったよ。」「今日も楽しかったね。困ったことはなかった?明日も元気に幼稚園に来てね。」などと、子ども一人ひとりと会話を交わし、ぎゅっと抱きしめてやってほしいということです。
大泣きしている子はお母さんの愛情が深い子、泣かない子はお母さんの愛情をたっぷり受け、親離れ子離れができている子、この子たちがこれからいろいろな学習や体験を通して大きく成長していきますよ。楽しみにしていてくださいね。