<園長先生のつぶやき その15> 

「遊具」

 

私は幼稚園に勤めることになったのだから、園バスが運転できなくてはいけないという使命感から大型の免許を取りました。この年齢で大型トラックを使用しての教習所での実習はさすがに想像を絶するほど大変でした。この話をすると、何時間もかかりますからこのへんでやめておきます。しかし、この免許が今回は本当に役に立ちました。

 

 

 

運転手のSさんが休まれると聞き、バス会社に代わりの運転手さんをお願いしたのですが、その日はちどり幼稚園に派遣できる者が誰もいないという回答が返ってきました。ガーンです。

 

 

つい先日、某子ども園の園長先生の事故が大きく全国ニュースで流れたばかりです。

 

 

今、ここで園長の私が園バス事故を起こして、全国版のニュースで報道されるかと思うと腰が引けました。でも、園バスを運転する人がいないのです。私は、覚悟を決めて運転することにしました。前日と前々日は、運転手のSさん指導のもとに試走しました。

 

 

乗務の先生や運転手さんから「次のバス停では8人おります」、「そこの交差点は、自転車がときどき飛び出してくることがありますから注意してください」など園バス安全運行のためのアドバイスを色々していただきました。

 

 

そのおかげで当日は事故もなく無事バス業務の仕事を終えることができました。バスの中の子どもたちは先生とのお約束をよく守り、楽しそうに過ごしていました。えらい。えらい。

 

 

今回のバス運転の経験を通して、子どもたちの優しさや、運転手さん、乗務の先生の苦労が本当によくわかりました。

 

 

 

 

さて、本園には、ドリームワールド、機関車ジェームス、ボルダリング、大型滑り台、ターザンロープなどたくさんの遊具があります。色々な遊具で子どもたちは毎日楽しく遊んでいます。今の一番人気は業務のSさん手作りの「ターザンロープ」です。いつも長い行列ができています。

 

 

勿論、これらの遊具は体力づくりにも使用しますが、子どもたちには、それぞれの遊具で楽しい遊び方を考えてほしいと思っています。

 

 

たとえば、大型滑り台は、子どもたちが色々工夫して楽しく滑れるように考えてつくられています。上から下に向けて滑って終わりではなく、下から登って途中から滑ってみるなど、どのようにしたらもっとおもしろく滑れるかを考えてやってみる。こんな思いを込めて、それぞれの遊具を設置しています。

 

 

好きな遊具の遊びを通じて、自分の知性を高め、意欲や根気など非認知能力を培うことは、これからの学力形成にもつながっていきます。

 

 

 新しい遊具を設置するときには、先生たちとも色々と議論します。そこで問題となるのはいつも遊具の安全性と設置場所です。

「ボルダリングの高い位置から落下したら危ないのではないか。」「ボルダリングが大きな壁となり、子どもの姿が見えなくなるのではないか。」

 

 

どの意見も正論です。ボルダリングや大型滑り台の後方は子どもの姿が見えなくなりますし、ボルダリングの高い位置から落下すると、たとえ安全マットがあったにしても怪我をすることも考えられます。

 

 

 心配したらきりがありませんし、子どもがワクワクドキドキするような遊具の設置など到底できなくなります。本園の遊具は全て「遊具の安全に関する基準」をクリアしたものを設置しています。この安全な遊具を活用して、子どもにどのような力をどのようにして付けていくかということが大切です。

 

 

先日、ある幼稚園を訪問したとき、園長先生から「うちの園では、木登りも自由にさせていますよ」と、ごく普通に言われました。今まで木登りでの怪我や事故は1度もないということです。但し、何度も木登りに挑戦し登れるようになった子どもが、登って遊んでいます。

 

 

また、子どもたちには「自分の腕より大きい枝を掴みなさい。自分の太ももより大きい枝に足をかけなさい。そうしないと枝が折れて落下し大怪我をしますよ」って丁寧に話しています。という説明を受けました。

 

 

園長先生いわく、子どもが夢中になって挑戦し伸びようとしているのに、先生や保護者は危ないからと言ってすぐに子どもの動きを止めてしまう。止めないで欲しい。遊びは想像を広げていくものですから。

 

 

 

ちどり幼稚園はこれからも安全を第1に考え、子どもたちの大好きな遊具で「遊びの学び」を大切にしながら、のびのびと大きく育てていきます。