<不思議な力その4>「挨拶は進路を開く」

 

ある朝、年少組の子が「園長先生、これあげる」と言って空色のかわいい封筒に入ったお手紙をくれました。すぐに走り去って行ったのでその子の顔も見ずに「有難う」というのが精いっぱいでした。

後からゆっくり封筒を開けると、私の似顔絵を描いたお手紙が入っていました。そっくりに描かれていてびっくりしました。いつも下から見上げていてはっきりと見ることができない園長先生の顔を、しっかりしたタッチでしかもメガネまできちんと描いてくれていました。 感動しました。その手紙は、大切に園長室に飾っています。

 

さて、今日のつぶやきは私が某中学校に勤務していた時のお話です。

 

A君とB君は同じ高校を受験しました。A君は内申点もB君より高く自信を持って受験しました。一方、B君はA君よりは内申点も低く、希望している高校については自分の成績では半分無理だと諦めて受験しました。

受験結果が学校に届き、学年の先生方からも驚きの声が上がりました。封を開けて見るとA君が不合格でB君が合格していました。

 

A君は「どうして、自分が不合格で内申点が自分より低いB君が合格したのか。」

と私に聞きにきました。私は、先生にもわからん。と返答しました。実際、本当に分かりませんでした。そこで、B君を呼んで「B君、合格おめでとう。頑張ったね。合格する自信は全くないって話していたのに、本当に良かったじゃないか。」と会話している中で、受験当日の様子を詳しく教えてくれました。

 

B君の話によると、当日、トイレで出会った先生に、立ち止まって笑顔で「おはようございます。」って丁寧な挨拶をしたとき、その先生から「君はえらいねぇー、トイレのスリッパを揃えた上に挨拶まで素晴らしい。どこの中学校の生徒ですか?」と尋ねられたそうです。私は、これだ。これが逆転現象を巻き起こしたのだと確信しました。

 

B君は学校生活においてもいつも清々しい「残心」ある挨拶をしてくれる生徒でした。

挨拶は身を助けると言いますが現実に起こった話でした。

 

ちどり幼稚園で学んだ挨拶が、この子たちの進路をどのように切り開いていくのかとても楽しみです。