<園長のつぶやき その18
ちどり幼稚園の自己申告書 >
ある日、年少組のA君がターザンロープをやりたいと私のところへやってきました。
その日はちょうど園庭開放の日で、小さい子ども達がたくさん遊びにきておりぶつかると危険なので、明日一緒にターザンロープで遊ぶ約束をしてその子を納得させました。
次の日、自由遊びの時間になるとAくんはすぐに私のところに駆け寄ってきて、「園長先生きて、きて」と手を引っ張りました。
私は昨日の園児とは思わず「何をしてあそぼうか。」
と問いかけると、Aくんはターザンロープのところまで私を連れて行き「これ。これ。」と指さしました。
そうだった、「明日やろうね。またやろうね」と軽い気持ちで答えていました。
約束したことは1日たつと、すっかり忘れていて違う遊びに夢中になって遊んでいる子ども達です。
でも、Aくんは私とターザンロープで遊ぶことをしっかり覚えていて、楽しみにしていたのでしょう。
私はその日から子どもとの約束は絶対に忘れないように、そしてどんな小さな約束でもその子にとっては大きな約束です。守ってやろうと決心しました。
Aくん、ターザンロープの遊び楽しかったね。また、いつか一緒にやろうね。
幼稚園の先生たちは幼稚園教諭免許状という資格を持って先生(教諭)として園児たちの前に立って教えています。文部科学省の幼稚園教育要領に基づいて計画を立てその内容を展開していきます。
行政的には、幼稚園は文科省が管轄する「学校」で、保育園は厚生労働省が管轄する「児童福祉施設」と区分されます。
幼稚園は「学校」という枠組みで、入園されてから卒園されるまでの3年間で身に付けなければならない基礎的、基本的な生活力や学力を培っていかなくてはなりません。
そのために先生方には年度当初において、自己申告書を提出してもらっています。
自己申告書には始めに各自、経営目標に対する取り組み課題を明記します。
次に「生活力」、「豊かな人間性」「信頼される幼稚園及び分掌」の3領域において今年度の目標及び目標達成に向けた具体的な手立てを記入します。
この自己申告書に基づいて、当初申告面談(5月)→中間申告面談(11月)→最終申告面談(3月)を理事長、園長、先生の三者で面談を実施します。
その後、先生たちは面談で受けた指導、助言を基にP(計画)D(実行)C(評価)A(改善)のサイクルで自分たちの掲げた自己申告書の目標を実践していきます。
こうした取り組みが、子どもたちに確かな生活力や学力を付けていきます。
<自己申告書の例 ―豊かな人間性の領域― >
今年度の目標 【当初面談時】
・相手の名前を付けて挨拶をさせる。
目標達成に向けた具体的な手立て
①1学期は保育者が見本を見せる。
②2学期は挨拶カードを作成し、スタンプを押す。
③年間を通してスタンプをたくさん集められた子どもに「挨拶メダル」をプレゼントする
取組内容についての自己評価 【中間申告面談時】
①の取組みに対しては、保育者自身が意識して行ったため、子ども達にも浸透した。
②挨拶カード作りに関しては、まだ十分な取組みができていない。年中になる準備段階として2学期後半から実践したいと考えている。
③「挨拶メダル」については3学期に実践するため、メダルのデザインを考え中である。
1年を振り返っての自己評価 【最終申告面談時】
・挨拶カード、「挨拶メダル」の計画を2、3学期に計画通りに実施することができ、相手の名前を付け挨拶することができる子が1年間の取組みを通して増えた。
・次年度は「がんばり表」を作成するなどして挨拶指導を継続していきたい。